代表の宮﨑と Pukyong National University(韓国)との共同研究による共著論文が、国際学術誌 Water(MDPI)に掲載されました。
論文タイトル
A High-Resolution Daily Precipitation Fusion Framework Integrating Radar, Satellite, and NWP Data Using Machine Learning over South Korea
(韓国におけるレーダー、衛星、数値予報データを機械学習を用いて統合した高解像度の日降水量融合フレームワーク)
論文概要
本研究は、異なる特性を持つ複数の降水データ源を統合し、日単位での高精度・高解像度な降水量推定を実現する新しいデータ融合フレームワークを提案したものです。降水データは、水資源管理、防災・減災、洪水解析、気候変動研究など多くの分野で基礎情報として利用されますが、単独のデータ源では空間分解能、時間分解能、推定精度のいずれかに限界があり、詳細な降水分布の把握が困難でした。本研究では、こうした課題を解決するため、以下の点に着目した手法を示しています。
▪多様なデータ統合
気象レーダー観測、衛星観測データ、数値予報モデル(NWP)の出力データといった、異なる観測原理・特性を持つ降水関連データを統合するフレームワークを構築しました。高い空間分解能を持つレーダー、広域を一様に観測できる衛星、時間的連続性や予測情報を有する数値予報モデルを組み合わせることで、各データの弱点を相互に補完し、より信頼性の高い降水情報の生成を可能としています。
▪機械学習の活用
異なるデータ源間の関係性は必ずしも線形ではないため、本研究では機械学習手法を用いてデータ統合を行っています。ランダムフォレストを含む機械学習モデルにより、各データの特徴や誤差特性、非線形な関係性を学習させることで、単純な統計的手法では捉えにくい降水分布の特徴を反映した最適な融合結果を導出しています。これにより、従来手法と比較して降水量推定精度の向上が確認されました。
▪高解像度降水量推定
構築した融合フレームワークにより、空間・時間分解能が向上した日降水量マップの生成が可能となりました。特に、局所的な強降水や空間的に不均一な降水分布の再現性が改善されており、極端気象事象の解析や洪水リスク評価、流域スケールでの水循環解析などへの応用が期待されます。
研究の意義
本論文は、気象観測データおよび数値予報データを高度に統合し、機械学習を用いて高精度な日降水量推定を実現する方法を示しています。この成果は、気候変動下における水循環解析や防災・減災、流域管理などの課題に対して重要な知見を提供するものです。
掲載論文は以下の通りです。
https://www.mdpi.com/2073-4441/18/3/353